2019年3月1日に日本のアカデミー賞が発表されました。
アカデミー最優秀主演女優賞、受賞は女優の安藤サクラさん。
安藤サクラさんは今回が2度目の最優秀主演女優賞となります。
しかし安藤サクラさんの前に、2度連続で最優秀主演女優賞を受賞した女優がいました。
その女優は宮沢りえさんです。
宮沢りえさんは一見淡白なようでいて、実は情熱を内に秘めた演技を得意とする女優。
今回、アカデミー賞最優秀女優賞を獲得した映画「紙の月」とは、いったいどんな映画なのでしょう?
映画「紙の月」に観る女の幸せとは?
今回ご紹介する映画「紙の月」は、映画「桐島、部活辞めるってよ」の吉田大八監督です。
映画「桐島、部活辞めるってよ」では2013年にアカデミー賞を総なめにした作品。
渦中の桐島が部活を辞める話なのに、桐島本人がなかなか出てこない、という面白さの多角化をはかった映画でした。
そんな吉田大八監督が今回メガホンをとったのが、宮沢りえ主演の「紙の月」です。
慈愛心の強い少女が大人になり、結婚し銀行員になります。
定期貯金の勧誘が主な仕事ですが、美人で優しいリカは成績も上場。
仕事が楽しくなってきたリカは、夫に時計をプレゼントします。
しかし、夫は時計をしてくれますが「カジュアルだからゴルフにしていくよ」と、なんだか自分の仕事が認めていないような言動をするのです。
そこに対照的に表れたのが、年下の男性・コウタ。
コウタはリカがご馳走したり、遊びに連れて行ったりするだけでとっても感激してくれる男性だったのです。
そんなコウタの反応に心が躍るリカ。
どんどん夫から心が離れていき、夫が中国に転勤になっても一緒に行かないと、決断します。
女性として、この決断はかなり勇気のいる決断だなと関心しました!
2人の男性の違いが面白い!
今回リカの夫役に田辺誠一。
一方年下の男性、コウタは池上亮壮が演じました。
池上亮壮といえば映画「ラストサムライ」で小さな侍役をした子役からの俳優です。
この2人の男性の対比も映画の見どころのひとつになります。
しかしこの男性を1人1人別々に見てみると、【あること】が浮き彫りになってくるんです!
まず田辺誠一演じるリカの夫。
彼は働くリカのお給料から買ってプレゼントした時計を、あまり心から喜びません。
このことをリカはなんとなく不服としますが、実はこの夫の態度は不器用な気持ちを表しているんですね。
本当の夫の気持ちは「リカが仕事に夢中になって寂しい」ということです。
しかしプライドの高いリカの夫は、正直に自分の想いを語ることができません。
自分の行動で、リカに察してほしいのです。
もう1人の男性、コウタはリカの夫とは真逆のタイプ。
お金は全部リカもちで、気兼ねなく贅沢三昧。
遊んだ後はリカに「ありがとう」と言うだけです。
リカの夫と違って感謝の気持ちは表しますが、お返しを絶対にしません。
コウタはリカを決して不快な気持ちにはしませんが、どんどん金額が大きくなるように誘導していくんですね。
そして最後は「リカが勝手にしたんでしょ」と言い放てる男性。(これはドラマ版のコウタのセリフでした)
まさに年下の男性の象徴のようですよね。
この映画のポイントは?
映画のラストでリカはとうとう逃げてしまいます。
コウタに多額のお金を使ってしまったリカは、どこにも行き場がなくなってしまったのです。
このようなラストを避けるには、リカが夫をたてて仕事を早めに辞めるべきでだったと思います。
しかし専業主婦で、いままで誰からも認められたことのなかったリカ。
仕事やコウタから認められたことで、嬉しくなってしまったんでしょうね。
しかしそんな表面的な「誉め言葉」はまやかしでしかありません。
その場しのぎの優しい言葉言った人が、リカが窮地に陥ったときに助けてくれるのでしょうか。
まとめ
今回はアカデミー賞最優秀女優賞を獲得した映画「紙の月」についての紹介でした。
リカの性格と今後の展開を予想してみると、原作でのラストは逃亡したリカ自らが自分から名乗り出る展開になります。
しかしその理由はどうも「誰かに見つけてもらいたかった」からのようです。
学生時代、リカは募金をするために、家のお金を持ち出して学校に持って行ってしまいました。
そのことで学校に怒られますが、リカは正義感でしたのに何が悪いの?と不思議がるだけです。
本当の正義は関係なく、【自分の思う正義】だけがリカにとって正しい正義なのです。
だからコウタを救いたかった。
ありがとうと言ってもらいたかったのだと感じました。
そうしてくれる対象があってこそ、リカは生きている実感を感じられる女性なんですね。
ただどうしてその言葉を夫が言うまで、努力が出来なかったのか?
そんなふうに角度を変えて観てみると、また深みの出る映画「紙の月」。
周りの人間に翻弄される、宮沢りえの演技にも注目です!
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